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職務経歴書は、転職しようと思ったときに書き始めるものだと思われています。
私はこの順番が、そもそもの難しさの原因だと思っています。
書こうと決めた日に、過去3年ぶんの仕事を思い出そうとする。これは相当に難しい作業です。うまく書けないのは当然で、書き方の問題ではありません。
いま私がすすめているのは、週末に1行だけ書き足すやり方です。転職の予定があるかどうかにかかわらず、です。
書けないのは、材料がないからです
職務経歴書がうまく書けないという相談の多くは、書き方の問題ではありませんでした。
材料の棚卸しが済んでいないだけ、というケースがほとんどです。
やったこと、出した数字、工夫した点。これが手元に並んでいれば、書き方は自然に決まります。逆に、材料がないまま書き始めると、どうしても「担当しました」の羅列になります。
書くという作業は、実は最後の1割です。残りの9割は材料集めで、そこを飛ばすからつらくなります。
3年前の仕事は、思い出せません
材料集めが後になるほど難しくなる理由は、単純です。忘れるからです。
しかも、忘れ方に偏りがあります。
派手な成果は覚えています。一方で、自分にとって当たり前になった工夫は思い出せません。手順を変えて時間を半分にしたとか、揉めそうな場面を先回りして収めたとか。
やっかいなのは、書類で効くのはむしろ後者だということです。当たり前になっているということは、その人にとって自然にできることで、他の人にはできないかもしれないことです。
記憶が新しいうちの1行と、後からまとめて絞り出す1行では、質がまったく違います。
週末に1行だけ
やることは本当に1行です。
今週やった仕事を、1行メモする。それだけです。
書く内容は3つのどれかで構いません。
- やったこと(何を担当したか)
- 数字(件数、金額、期間、人数など。ざっくりでよい)
- 工夫(自分で決めたこと、変えたこと)
置き場所はどこでもいいと思います。メモアプリでも、スプレッドシートでも、日報の下でも。私は1つのファイルに追記するだけにしています。ファイルが複数あると探すのが面倒になって、それが続かない理由になります。
所要は5分もかかりません。
続けるための設計
続かない習慣には、たいてい共通点があります。がんばらないと続かない形になっていることです。
3つだけ、気をつけています。
曜日を決める
思い出したときに書く、では続きませんでした。私は金曜の終業前か、日曜の夜に固定しています。
きれいに書かない
メモの段階で文章にしようとすると止まります。「請求フロー変更、月20時間削減」くらいの断片で十分です。整えるのは使うときでいいので、ここでがんばらないほうがいい。
書けない週があってもいい
出張や繁忙期で飛ぶ週は必ずあります。飛んだからやめる、が一番もったいない。
抜けた週は空白のままでかまいません。1年で40行残れば、材料としては十分すぎます。
転職しない人にこそ効きます
ここが、この記事で一番書きたかったところです。
積み立てた1行は、転職しなくても使えます。
評価面談で「今期何をやったか」を聞かれたとき、記憶ではなく記録から話せます。異動を希望するときも、なぜ自分がその仕事に向いているかを具体で説明できます。
そして、自分の現在地が分かります。
1年ぶんの行を眺めると、どこに時間を使ってきたかが見えます。伸びている領域と、ずっと同じことを繰り返している領域が、意外なほどはっきり分かれます。
市場価値は、怯えるものではなく測るものだと思っています。測るための材料が、この1行です。
転職するかどうかは、それを見てから決めればいい。逆に言えば、材料がない状態で不安になっても、判断のしようがありません。
たまった行は、どう使うか
1年ためた行を職務経歴書にするときは、いきなり書き始めないほうがいいと思います。
やることは2つです。
ひとつは、並んだ材料をAIと一緒に掘り下げること。自分では当たり前すぎて書かない実績は、他人に質問されて初めて出てくることが多いからです。
もうひとつは、並べ方を決めること。書類は精読されないので、冒頭の3行に何を置くかでほぼ決まります。
材料をためる、掘り下げる、並べる。この3つに分けてしまえば、職務経歴書は一夜漬けでやる作業ではなくなります。
まとめ
- 書けないのは書き方ではなく、材料がないから
- 週末に1行。やったこと・数字・工夫のどれかを、きれいに書かずに残す
- 曜日を決める、整えない、飛んだ週は空白のままでよい
- 転職しなくても、評価面談と現在地の確認に効く
一夜漬けで足りるものは、たいてい一夜漬けで消えます。書類は積み立てたほうが、結局いちばん楽です。

